創業以来basicmathでは、企業PRの為の動画撮影や制作を行ってきましたが、中々本格的な映像制作プロジェクトに携わる機会に恵まれず、様々なプロジェクトが進行し時間が取れる機会もなかったのですが、ようやく2021年から自社プロジェクトを開始しようと考えています。

動画撮影をスタートさせた際には、多くの知識がない中で初めて4K 60Pが撮影できるとして発売された、Canon 1DX Mark II を思いきって導入しました。今思えば、よくわからないままにいきなり最高峰のカメラを導入し、スペックをフルに使いこなせていなかったと思いますが、最高性能のカメラを手に調べ・勉強し・テストしながら、動画撮影の基礎知識や写真撮影の基礎知識などを少しずつ蓄積させていっていった訳なので、結果としては中途半端なカメラを導入するよりは良かったと改めて思います。

話は逸れましたが、Canon 1DXのサイズ感や合わせ持つレンズの総重量など、プロジェクトのサイズに求められる装備としては過剰な装備であった事もあり、Panasonic GH5へ乗り換えを行いました。

Panasonic GH5は、今でも業務使用するメインカメラの一つで、写りもよく設定幅も柔軟なレンジを持ち、何より現場での操作性や我々に求められるプロジェクト(動画+写真撮影)に最適なカメラという事で長年使用してきた訳なのですが、約4年間の技術の進歩を確認するべく、2021年以降に使用するメインカメラの移行を決定しました。

そこで、2021年以降の撮影に使用する機材についての選定プロセスについての考察をご紹介させていただければと思います。

選定基準

カメラを選ぶにあたり、今回の主な選定基準項目は下記を中心に検討しました。

前提条件として

  • 使用用途は、ミニドキュメンタリーシリーズの撮影で使用
  • 撮影後の編集はDavinci Resolove、もしくはAdobe Premiereでの編集
  • プロジェクトにより、カラーグレーディングを行う
  • プロジェクトにより、Atomos Ninja Vでの外部モニタリング・外部収録
  • プロジェクトにより、ジンバルを使用

カメラに求める性能として

  • 4K 24P 4.2.2 10 ビット以上の内部収録
  • フルフレームセンサー
  • 高ダイナミックレンジ
  • 高ビットレート
  • 優秀な手ブレ補正
  • インタビュー撮影時などにおいて、オートフォーカス性能は必須
  • ワンオペ撮影時の操作性や機能
  • コンパクトサイズ
  • 収録コーデックは出来ればALL-IもしくはRAW収録
  • 低照度条件に強い
  • 価格は50万円以下

以上を主な選定基準として調査しました。

機材候補

いろいろと前提条件はあった物の、当初よりPanasonic、Sonyの2択がメインの選択肢で、Blackmagicも調査次第で検討という事で、機種を絞り込みました。

タイミング的に、候補は Panasonic S5、Sony α7s III、Blackmagic pocket cinema 6K が最終候補となったのですが、それぞれのカメラについての考察をご紹介します。

Panasonic S5

ちょうどカメラの入れ替え検討時期に発売開始されたPanasonic S5なのですが、前評判や各レビューサイトの評価も非常に良好と言う事で、まずは第一候補として様々調査してみました。良い点・懸念点をまとめると

良い点

  • S1Hと同じダイナミックレンジの高ダイナミックレンジ
  • 酷評されているPanasonicのオートフォーカス性能については、飛躍的に向上
  • デュアルISO仕様で、低照度条件にも強い 
  • 2,420万画素でデジカメとしても問題なく使用可能(主にWEB画像での使用)
  • Ninja Vへ5.9K ProRes Rawで出力可能
  • 実勢価格 レンズキットで28万円〜(同性能のカメラとしては非常に低価格)
 
懸念点

  • 内部収録コーデックが Long GOPにしか対応していない
  • 4K 60Pの場合、画角がAPS-Cサイズにクロップされ、4.2.0 10bitでしか収録できない
  • 最高画質での内部収録は実質 4K 30Pが上限
  • オートフォーカスは様々なレビュー動画を見る限り、懸念点多数
  • スローモーション性能の収録ビットレートが低い(実際に使用できる画質で撮影できるか不明)

Sony α7s III

2020年に発売された動画撮影用カメラで最も注目を集めたであろう Sony α7s IIIについてご紹介させていただきます。

こちらのカメラについても、入れ替えタイミングと同じく発売予約が開始され、一部の先行ユーザのレビュー動画等を調査しました。どのレビューでも内容が非常によく、また当初懸念されていたオーバーヒートの問題も特には発生していないようなので、S5同様に第一候補として良い点・懸念点をまとめました。

良い点

  • クロップなしで 4K 60P 4.2.2 10bit ALL-I 600Mbpsの内部収録が可能
  • 4K 120Pの内部収録が可能(この場合、10%画角がクロップされる)
  • 高ダイナミックレンジ
  • 信頼のオートフォーカス性能
  • ナイトビジョンカメラレベルの低照度での強さ
  • 新しくなったUI(Sonyのカメラは非常に使いにくい印象)
 

懸念点

  • CFカードや付属品などを合わせると60万弱の価格
  • 動画に特化している為、1210万画素のスペック(WEB用途の写真撮影がぎりぎり可能)
  • XAVC Sを編集する際に必要になるマシンスペック
 
α7s IIIに関しては、価格が高いという事や撮影後、問題なくXAVC Sコーデックを編集できるかくらいしか懸念点は見つかりませんでした。

参考にしたレビュー動画こちら

Blackmagic Cinema Camera 6K

シネマティックな動画撮影できるBlackmagicのカメラなのですが、Pocket Cinema 4Kを所有していたという事もあり、画質や性能・操作性については、ある程度理解していました。

実際に何度か現場で使用した事もあるのですが、良い点・懸念点をまとめてみたいと思います。

良い点

  • なんと言っても高画質
  • Blackmagic RAWやProRessで収録可能
  • Davinci Resolveとの親和性
  • 外部モニターを必要としない、バックモニターのサイズ
  • 優れたUI(操作性が非常に良いです)
 
懸念点

  • オートフォーカス機能は非搭載(ピント合わせの際にのみ使用可能)
  • 手ぶれ補正は非搭載
  • バッテリーの持ちが非常に悪い
  • 写真は一応は撮影できるが、デジカメのように操作することは不可(実情、現場で使えるレベルではない)
  • 撮影後のポストプロダクションで時間を有する
 
という所で、実際問題現場で使用するには、中々ハードルが高いカメラでそれなりのセッテイングや準備、そして撮影後の編集で時間を有するということなど、カメラ自体の性能ではなく、運用上の懸念点が多いカメラという事で、今回はパスする事となりました。
カメラ自体の性能は良く、何よりBlackmagic RAWで撮影できる唯一のカメラなので、魅力点も多くはあるのですが、メインで使用できるか?と言われると、中々難しいカメラだということには変わりはないと思うので、セカンドカメラやプロジェクトを絞った場合などに使用するという事を考えると、購入する必要もなくレンタルで良いのでは?という事が判断基準となりました。

Panasonic S5 vs Sony α7s III

最終的な比較段階において、両カメラの画質についてはほぼ同格という事がわかりました。次に考える事項として、収録可能フレームレートやコーディックについてなのですが、今回主な利用用途はミニドキュメンタリーシリーズやインタビュー撮影なので、60Pについては必須という事ではなく、また60Pでの撮影・運用の場合には、外部のストレージや編集するマシンのスペックに至るまで検討事項が多くなるので、基本的には24Pでの撮影・運用・編集を行うという事を前提としました。

また何にしても本格的な撮影時には、Atomos Ninja Vでのモニター・収録を想定しており、ProRes収録での運用フローを前提としているので、内部収録のコーデックについてもそれほどこだわらず、低照度スペックについてもα7s IIIレベルのスペックが必要になるシーンがどの程度あるのかと考えるとおそらく15%にも満たないであろう事や、S5もデュアルISOによって低照度にはある程度強そうなので過剰なスペックは必要なしと考えました。

という所から、動画+写真撮影の両面においてバランス良く対応できるPanasonic S5が価格も安くスペック的には良いのではないのかという点と、Panasonicのカメラを長年使用しているという事もあり、Panasonic S5を導入することとなりました。

結論

結論としては、一旦はPanasonic S5を導入するという事になり購入・テストを実施した訳なのですが、その後S5については売却、Sony α7s IIIを購入し、Sony α7s IIIに決定するという結論になりました。

Panasonic S5を売却しSony α7s IIIに移行した経緯や、各カメラのレビューや考察については、次回ご紹介させていただければと思います。

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Last modified: 2021年2月1日
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